※この物語についての説明は、こちらの記事でまとめています。
→「新企画スタートのお知らせ」
美人秘書それでは、本編スタートです!
ロードタイヤ普及協会のガレージにて


「やっぱり、軽いって正義だよね!」
アジリストライトはご機嫌に口を開いた。
いつになくテンションが高い。
「なに、唐突に…」
めんどくさそうに呟いたのはグラベルキング。
床の上に大の字になって寝転がっている。
「なんで床に!?」
「私はドコでも平気なのよ」
グラベルキングは意に介さず空気をスゥースゥ―吸い始めた。
「で、いつにないそのテンションは何よ?」
ハァーーと空気を吐きながらアジリストライトに尋ねる。
グラベルキングはパンパンに空気を詰めるのはニガテなようだ。
「えへ、それは…」
アジリストライトは嬉しそうに答える。
「いよいよヒルクライムシーズンが始まるからね!」
「――フン…」
グラベルキングは興味なさそうに鼻であしらう。
「山なんて、登るよりも下るほうが楽しいじゃん」
「で、でも冬の間にトレーニングしてきたし。
ダイエットも成功したから」
ヒルクライムレースに出場するのがアジリストライトの目標なのだ。
「ハイハイ、スリムボディのご自慢ですか?」
グラベルキングが退屈そうに床の上でゴロゴロしはじめたとき――
「条件次第だろうね」
落ち着いた声が差し込まれた。
「ん?」
アジリストライトが振り向くと、そこにいたのはGP5000。
「軽いのは正義だっていう、さっきの話」
相変わらず、無駄のない佇まい。
背が高く、凛とした立ち姿。
ガレージにいるだけで、なんとなく空気が引き締まる。
(な、なんて存在感……)
「軽さはメリットのひとつに過ぎない。
絶対的な価値ではないよ」
「えー」
アジリストライトはちょっとだけ不満そうな声を出す。
「でも、軽いと楽しいじゃないですか」
「それは否定しないが、主観にすぎない。
再現性に乏しいね」
GP5000は淡々と言葉を重ねる。
「軽くするということは、どこかを削っているということだからね」
「転がり抵抗・グリップ・安定性・耐久性。
それらすべてが成立した上での軽さに意味があるんだよ」
(すべてが成立って…)
(そんなん、アナタだけです…)
アジリストライトとグラベルキングは心の中でひっそりと呟く。
GP5000はそんな場の空気感を察すると、
「ま、どうだ?
せっかくだから一緒に走って検証してみるか?」
二人に提案してきた。
こうした気づかいができるところからも、GP5000の万能ぶりがうかがい知れる。


――――数分後、三人はサイクリングロードに出ていた。
(き、緊張する…
グ、グラベルさん、助けて…)
(ノウ…
コッチはジャンル違いでお初…
もうムリ…)
みんなの憧れのGP5000とのグループライド。
ガチガチの二人を尻目に、GP5000は颯爽とサングラスを装着して振り返る。
「さあ、行こうか!」
二人(カ、カッコイイっす!)
――三人が走り出してすぐ、すれ違ったタイヤがGP5000を見てピタリと止まった。
「あ、GP5000さん!今日も走るんですか!?」
「ああ」
「ご一緒してもいいですか?」
「すまない、今日は先約がある」
「そうですか…。また今度お願いします!」
ひとり去ったと思ったら、また別のタイヤが。
「GP5000さん、先週教えてもらったライン取り、実践したら全然違いました!ありがとうございます!」
「データ通りの結果が出たなら何よりだ」
「さすがです!」
それも去って、また別のタイヤが——
(ちょ…なにコレ…)
初めてGP5000と一緒に走るグラベルキングは驚きを隠せない。
(引力か何かデスカ…?)
すかさず隣のアジリストライトにささやく。
「いっつもこんなんなの?」
「あ、いや。実は私、遠くから眺めているだけだったので、あまり…」
アジリストライトは気まずそうに答える。
「私、ヒルクライムしかしないから、友達限られてて…」
「ああ、普段の買い出しとか旅行とかニガテそうだもんね」
(華奢なスリムボディってのも、案外不便なモンね…)
グラベルキングはアジリストライトをチラッと見やって、ポンポンと自分の下っ腹を叩いた。
――しばらくたってタイヤたちの訪問が途切れると、GP5000は二人を振り返った。
「では、改めて。行こうか!」
「はい!」
「御意!」
二人の声が揃った。
再スタートを切った瞬間、アジリストライトの体が前に溶けた。
軽い――
とにかく軽い。
「軽さ」の恩恵はヒルクライムだけではない。
漕ぎ出しの軽さ、加速の鋭さもアジリストライトの真骨頂だ。
路面の細かな凹凸はダイレクトに伝わってくるが、それに邪魔されない。
余裕が生まれる。
景色が見える。
路面の変化が読める。
——これが好きだ。
「コレコレ、これなのよ…!」
思わず声に出た。
「そうだろう」
横にGP5000がいた。
(ヒィッッ!)
アジリストライトは我が目を疑った。
(今、オハコの急加速かましたんですけど…)
「マジですか!?」
「何がだい?」
「いや、アッサリ追い付かれたので…」
「漕ぎ出しも加速も、軽さだけが重要なわけではないからね」
(なんかよく分からんけど…)
アジリストライトはGP5000の横顔を見やる。
(バケモンですか!?)
その後はそっとGP5000の背後につく。
ブレないライン。
安定した挙動。
どのコーナーも同じ精度で抜けていく。
「安定してる……」
思わず、声が漏れる。
その時――
「ちょっと待ってよー!」
後ろから声が飛ぶ。
「あ、しまった…」
ついついGP5000の走りに見入ってしまい、グラベルキングの存在を忘れてしまっていた。
「ゴメン、グラベルさん…」
「いや、大丈夫だろう」
GP5000は気にかける様子もない。
(でもグラベルさん、ロード専門じゃないし…)
アジリストライトが振り返ると、そこにはグラベルキングの必死の形相が――
(なっ!)
軽さでは劣るはずのグラベルキングなのに、なんとか食らいついている。
「グ、グラベルさん、すごい!」
「すごいって…
ちょっと私ナメすぎでしょ」
「だけどそんなに太くて重いのに…」
「太くて…重い…
だと…!」
「あ、いや、舗装路はニガテなのかなって思ってたから…」
「言ったでしょ!私はドコでも平気なのよ」
グラベルキングは得意気に言った。
「舗装も砂利も、全部まとめて踏みつけるタイプなんで。フフ…」
(こ、これが二刀流ってやつ…
グラベルさん、ステキです。
太いけど…)
アジリストライトは、グラベルキングの下っ腹からしばらく目が離せないでいた。
――――しばらく走ると、道が二手に分かれた。
一方は山へと向かう上り坂。
もう一方は砂利道だ。
「私はコッチ行くから、そっちはそっちで楽しんできて~!」
グラベルキングは迷いなく砂利道コースに突っ込んでいく。
「ヒャッホー!サイコー!」
歓声を上げながら、グラベルルートへと消えていった。
「さてと、こちらは山へと向かうかね」
GP5000はアジリストライトを振り返る。
「そうですね、行きましょう」
アジリストライトはもう一段階、ペダルに力を込めた。
(山は私の得意フィールド。
あのGP5000さんと走れるなんて…
フフフ…あわよくば、なんて…)
自然とギラついてしまう視線を、GP5000は見逃さなかった――
【次回へ続く】
ヒルクライムのためにすべてを捧げてきたアジリストライト――
「軽いは正義」を証明するために、
己の存在意義を懸けて憧れのGP5000に挑む!
次回『ヒルクライム対決!』お楽しみに!



登場したタイヤのガチレビューはこちらから!



実走レビューやタイヤ比較も充実してるから、タイヤ選びの参考にしてね。









価格や在庫状況は変動するので、最初にチェックしておくと安心ですよ。



同じタイヤでもサイズごとに価格が違いますからね。




